【海外進出企業必見】較差補填金の取り扱い

法人税

こんにちは、税理士の竹田です。

海外に進出してされている法人には、日本から海外現地法人に役員や従業員を派遣している会社も多いかと思います。その場合、日本と海外の給与水準や物価などの違いなどにより、日本から海外に派遣された役員・従業員の給与・賞与の一部を日本の法人が負担するということもあるかと思います。

この場合の税務の留意点について解説いたします。

 

1.較差補填金とは

まず、原則的な給与・賞与をどの法人が負担すべきかということですが、例えば、その年の1月1日から5月31日までの期間に日本の法人の従業員として働いていた方が、6月1日から海外の法人に2年間出向することとなった場合、1月1日から5月31日までの期間の給与は日本の法人が、出向期間である6月1日から2年を経過するまでの期間の給与は海外の法人が負担することとなります。

 

しかし、日本と海外では給与水準等が異なることが多いため、日本に家族を残して単身赴任されている方などにとっては出向すると急に給与が下がってしまい、生活に困ってしまうということもあります。

 

そういった海外現地法人の給与水準との格差を補填するために負担する費用を較差補填金といいます。

 

2.法人税法上の問題点

では、較差補填金の何が問題になるかというと、上記で述べたように、原則的には従業員として所属している期間の給与はその所属している法人において負担するというのが原則なのですが、較差補填金についてはこの原則から外れることになるため、日本の法人が海外の法人のために負担する較差補填金は法人税法上、損金として認められないのではないかという問題が出てきます。

 

3.法人税の損金性

結論から申しますと、較差補填金を支払うことについて一定の合理性がある場合には、日本の法人が負担する較差補填金については、損金として認められますが、負担することに対する合理性や負担する金額の合理性がない場合は、その金額は損金として認められないこととなります。

 

では、一定の合理性がある場合というのはどういった場合かというと、

 

① 日本の法人において雇用契約が維持されていることから労働条件を保証するために給与部分の較差を補填する必要がある

 

② 日本の法人の都合による出向であるため、海外現地法人に対して較差補填金部分を強制できる性質のものではない

 

③ 出向者に対する指揮命令系統が日本の法人にあるため、出向者の勤務の効果は日本の法人で勤務しているのと同視できる

 

など、他にもありますが、例示としては上記のようなものが挙げられます。

 

もし、上記のような合理性を説明することができない場合には、寄附金等として損金不算入として取り扱われます。

 

4.おわりに

実際に較差補填金の取り扱いについては、税務調査などでも問題になることが多く、事前に対策しておかないと後から思わぬ追徴課税を受けるといったケースもあります。

また、状況によって対応方法も変わることから早めに専門家に相談することをおすすめいたします。

弊事務所でも個別の相談を承っておりますので、お困りの際はぜひ下記お問い合わせフォームからご連絡ください。

 

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竹田

 

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