節税対策としても使える決算賞与の取り扱い

法人税

こんにちは、税理士の竹田です。

コロナウイルスの状況も徐々に落ち着きを取り戻しており、業績が回復してきている企業やコロナの影響に需要が拡大し大幅に利益が増加した企業もあるかと思います。

そんな中で普段がんばってくれている従業員に報いるため決算賞与を検討される経営者もいらっしゃるかとおもいますが、今回は決算賞与に関する税務上の取り扱いやメリット・デメリットについてご紹介したいと思います。

 

1.決算賞与とは

決算賞与とは、夏・冬などに支給される定期賞与と異なり、決算前後に臨時的に支給される賞与です。

法人の業績によって支給されるかどうかや支給額が決定されるケースが多いですが、投資ファンドなど業種や法人によっては、ほぼ定期賞与と同じように毎年支給されているような法人もあります。

 

2.決算賞与のメリット・デメリット

(1)メリット

① モチベーションアップ

決算賞与のメリットはなんといっても従業員のモチベーションアップが挙げられるかと思います。従業員としては、法人への業績の貢献が認められると同時に思いがけないボーナスの支給により、今後のやる気を増加させる効果も期待できます。

 

② 節税対策

税務面でも要件を満たせば、賞与を支給していない状況であっても支給を決定した事業年度の損金算入が認められることから節税対策にもなります。

 

(2)デメリット

① 資金繰りの問題

ある程度の期間を設けて準備していれば困ることはないかもしれませんが、短期間で支給を決定するとなると、資金繰りが不足する可能性もあるので、支給額をいくらにするかや支給した後の資金繰りに問題が生じないかについては、支給を決定する前に確認が必要になります。

また、決算賞与を支給するよりも税金として支払った方が法人としての現金の手残りが多くなるため、支給するかどうかについて総合的な判断が必要になります。

 

② 経常的に支給しなければいけない可能性がある

一度決算賞与を支給すると、翌年も支給されるのではないかとの期待があるため、支給されなかった場合のモチベーションの維持が難しくなるということがあるかもしれません。

もし決算賞与の支給を検討されるのであれば、明確な基準を設けておくと、従業員の不公平感などがある程度緩和されるかもしれません。

 

3.法人税法上の取り扱い

上記2.(1)②にも記載した通り、一定の要件を満たす場合には、その事業年度中に賞与を支給していなかったとしても、その事業年度の損金として取り扱うことが可能になります。

それらの要件というのは、以下3つの要件すべてを満たす場合となります。

(1)決算賞与の支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人にたいして通知をしていること

 

(2)上記(1)の通知した金額を通知したすべての使用人に対し、その通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること

 

(3)その支給額につきその通知をした日の属する事業年度において未払費用等として会計上費用計上していること

 

上記は、法人税法施行令第72条の3に規定されているのですが、こちらの規定はあくまでも従業員に対して支給される決算賞与について、要件を満たした場合に限り損金算入を認めているものであり、役員に対する決算賞与については、これらの規定の対象外となっていますので、役員分の賞与については損金不算入として取り扱われます(使用人兼務役員の場合は使用人分の賞与は当該規定の対象となります。)。

 

4.おわりに

上記の規定は実際に賞与を支払ったものと同視できるような状況の賞与について損金算入を認めるものであるため、事業年度末日時点において、上記3に掲げる要件を満たしていたとしても、支給日において通知額と金額がずれている場合や支給日に在職する従業員のみが対象となっており、支給日に退職した場合には賞与を支給しないとしているようなものについては要件を満たさず、損金不算入として取り扱われることから留意が必要です。

 

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