こんにちは、税理士の竹田です。
法人税の計算において、青色申告書を提出する事業者であれば、その事業年度に発生した欠損金がある場合、その後10年間欠損金が繰り越されるということをご存じの方は多いかと思います。
欠損金を翌期以降10年間繰り越すこともよいのですが、今回はそれとは別の取り扱いである欠損金の繰戻し還付についてご紹介したいと思います。
Index
1.欠損金の繰戻し還付とは
欠損金の繰戻し還付とは、その事業年度において発生した欠損金額がある場合で、その事業年度の開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度において所得に対する法人税額が発生している場合には、そのいずれかの事業年度に発生した法人税額のうち、一定の方法により計算した金額の還付を請求することができる制度となっています。
2.適用要件
欠損金の繰戻し還付の適用を受けるためには、以下のような要件があるため、適用前に要件に該当しているかどうかについては確認が必要となります。
(1)還付対象となる所得が発生している事業年度から連続して青色申告書である確定申告書を提出している事業者であること
(2)欠損金が生じた事業年度において、青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していること
(3)その還付を受けようとする法人税額等を記載した還付請求書を欠損金が生じた事業年度において提出すること
(4)中小法人で生じた欠損金額、清算中に終了する事業年度の欠損金額及び解散等の事実が生じた場合の欠損金額であること。
3.欠損金の繰越控除との違い
欠損金の繰越控除については、青色申告書を提出する内国法人であればその規模を問わず繰越が可能(法人の規模に応じて、繰越欠損金の使用時に制限はかかります。)ですが、欠損金の繰戻し還付に関しては、上記2(4)に記載している通り、中小法人など規模やその会社の置かれている状況により制限がかかります。
また、繰越欠損金は発生した事業年度以後10年間にわたって繰り越すことが可能ですが、欠損金の繰り戻し還付に関しては、1年間のみ遡ることが可能という点に大きな違いがあります。
4.繰戻し還付の計算方法
欠損金の繰戻し還付の計算方法については以下の通りとなります。
$$前事業年度の法人税額\times\frac{その事業年度の欠損金額*}{前事業年度の所得金額}$$
*分母の金額が限度
5.おわりに
欠損金の繰戻し還付は短期的なキャッシュフローを考慮すると、知っておいて損はないかと思います。
実際に申告を行う際には、申告書の記載方法や地方税の取り扱いなどいくつか考慮するべき点もございますので、これらに関するご相談などございましたら是非お気軽に下記お問い合わせフォームからご連絡ください。
竹田
こちらのクリックもよろしくお願いします。↓