【日本で働く外国人の方必見】脱退一時金の申請

国際税務

こんにちは。税理士の竹田です。

今回は、日本で働いている外国人の方もしくはすでにコロナの影響等により日本を出国された方向けに脱退一時金制度をご紹介します。

外資系企業の人事部の方についても、知っておいていただくとよい制度だと思いますので、ぜひ最後まで読み進めていただけると幸いです。

脱退一時金制度自体は雇用する法人に対して適用されるものではありませんが、働かれている外国人従業員の方にとっては、申請しないともったいないので、ぜひご案内いただけたらと思います。

 

1.脱退一時金とは

日本国籍を有していない方が、日本で従業員等として働いている場合、毎月の給与や賞与から厚生年金保険が差し引かれているかと思います。

 

日本人の方であれば、これらの厚生年金は一定期間加入後、要件を満たした場合に将来的に年金として受け取ることができるのですが、短期的に日本で働いている外国人の方などは、日本で年金を受けるための権利を満たせないため、日本で働いていた期間の年金保険料が掛け捨てになってしまっている可能性があります。

 

これを取り戻す制度として、脱退一時金という制度があります。

 

脱退一時金制度とは、厚生年金保険の被保険者資格を喪失して日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に厚生年金の一時金を請求することができる制度です。

 

 

2.脱退一時金を受けるための要件

厚生年金保険の脱退一時金を受領するためには、下記の要件のすべてを満たす必要があります。

① 日本国籍を有していない

② 厚生年金保険料を 6 月以上支払っている

③ 日本に住所を有していない *1

④ 年金(障害手当金を含む)を受ける権利を有したことがない

 

*1市区町村に転出届を提出したうえで、再入国許可・みなし再入国許可を受けて出国する方は請求することができます が、転出届の提出がない場合、再入国許可の有効期間が経過するまでは国民年金の被保険者とされることから、脱退一時金は請求できませんのでご注意ください。

 

具体的な詳細や申請書は下記からご確認いただけます。

【日本年金機構HP】

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/sonota-kyufu/20150406.files/A.pdf

 

3.所得税の取り扱い

脱退一時金として受け取った金額は非居住者に対して支払われるものであるため、受け取った金額に対し、20.42%の源泉所得税が課せられます。

 

脱退一時金については所得税法上、退職所得として取り扱われるのですが、退職所得の控除額は他の所得の控除額と比較しても大きくなっており、確定申告書を提出することにより、実質的に支払った源泉所得税のほとんどが戻ってくる可能性があります。

 

また、過去に脱退一時金を受け取った方で所得税の確定申告書を提出していない方については、脱退一時金を受け取った年の翌年1月1日から5年以内であれば還付を受けることができます。

 

 

4.源泉所得税の還付を受けるための手続き

源泉所得税の還付を受けるためには、日本に住所を有していないことが要件になっていることから、日本を出国する前に、もしくは、上記3の申告書提出と同時に納税管理人を選出し、納税管理人の届出書を提出する必要があります。

また、海外口座の場合、所得税の還付を受けることができない場合があることも納税管理人の届出書を行う理由となります。

 

 

5.おわりに

弊所では脱退一時金の申請のサポートから所得税の確定申告書の作成、納税管理人の選任手続きを行っております。また、外国人労働者が多い法人様については、まとめてご依頼いただくことも可能ですのでお気軽にご連絡ください。

 

お問い合わせはこちら

 

また、英語Ver.に関しては下記リンクをご参照ください。

竹田&アソシエイツ税理士事務所 – [For foreigners working in Japan] Application for Lump-sum Withdrawal Payment (takeda-associates.com)

竹田

 

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