【国際税務の特殊論点】不動産化体株式について

国際税務

こんにちは。税理士の竹田です。

以前ブログで事業譲渡類似株式について書いたのですが、ありがたいことに多くの方にお読みいただいているようですので、今回は事業譲渡類似株式と似ているものの少し異なる不動産化体株式についてご説明したいと思います。

 

事業譲渡類似株式にご興味のある方は以下をご参照ください。

【外国法人・外資系企業は要注意】事業譲渡類似株式について
こんにちは。税理士の竹田です。 今回は、あまり聞きなれないワードだと思いますが、事業譲渡類似株式についてご説明したいと思います。 これは外国法人にとっては落とし穴になっている場合がありますので、ぜひ読み進めていただければと思いま...

 

 

1.不動産化体株式とは?

不動産化体株式とは、資産の半分以上が日本にある不動産で占められている法人(不動産関連法人といいます。)の株式をいい、不動産関連法人の株式を保有する外国法人がその不動産関連法人の株式を譲渡した場合、その譲渡によって生じた譲渡益については、日本で課税が行われるというものです。

 

これは、日本の法人が所有する資産の半分以上が日本にある不動産で占められている場合、その法人の株式を譲渡することが、実質的に日本にある不動産を譲渡していることと同視できるため、日本において課税されることとなります。

 

不動産化体株式に該当するケースとして想定されるのは、海外法人が日本に子会社を有しており、その日本子会社の株式を他の法人に譲渡した場合に、日本子会社の株式を保有する海外法人がその譲渡時に株式の譲渡益に対して日本において申告・納付が必要となるケースです。

 

 

2.不動産関連法人とは

上記1でも少し記載しましたが、不動産関連法人とは、その株式の譲渡の日から起算して365日前の日から当該譲渡の直前の時までの間のいずれかの時において、その有する資産の価額の総額のうちに国内にある土地等及び不動産関連法人の株式等の価額の合計額の占める割合が50%以上である法人をいいます(法人税法施行令第178条⑧)。

 

3.譲渡される株式の要件

上記2に掲げられている株式の譲渡すべてが日本において課税されるかというとそうではなく、対象となる株式については上場株式と非上場株式においてそれぞれ以下に当てはまるものとされています(法人税法施行令第178条⑨)。

(1)不動産関連法人の株式が上場株式の場合

譲渡事業年度開始の日の前日において、その株式又は出資に係る特殊関係株主等*がその法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の5%を超える数又は金額の株式又は出資を有し、かつ、その株式又は出資の譲渡をした者がその特殊関係株主等である場合の譲渡であること

 

(2)不動産関連法人の株式が非上場株式の場合

譲渡事業年度開始の日の前日において、その株式又は出資(上記(1)を除く。)に係る特殊関係株主等*がその法人の発行済株式等の総数又は総額の2%を超える数又は金額の株式又は出資を有し、かつ、その株式又は出資の譲渡をした者がその特殊関係株主等である場合の譲渡であること

 

*特殊関係株主等

特殊関係株主等とは、不動産関連法人の株主やその株主の親族等を言います。

 

4.租税条約の適用について

法人税法第139条に定められている通り、租税条約の適用を受ける外国法人については、その租税条約の取り決めが優先されます。従って、その外国法人が所在する国と日本において租税条約の取り決めがあるのかどうかや租税条約の取り決めがあるのであれば、どの規定が適用されるのかどうかについては別途検討する必要があります。

 

5.おわりに

不動産化体株式はかなり特殊な論点であり、気づかずに申告漏れがあるケースも多いかと思います。

また、外国法人の申告自体を取り扱っている日本の税理士法人/事務所もあまり多くないかと思いますが、弊所ではこれらのご相談についても承っておりますので、ご相談がございましたら、ぜひ下記お問い合わせフォームからご連絡ください。

 

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竹田

 

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