国際税務で誤りの多い事例No.1

国際税務

こんにちは。税理士の竹田です。

今回は国際税務のスペシャリストである私が、過去に何百件というクライアントの確定申告書をレビューしてきた中で、圧倒的に間違いが多い事例をご紹介したいと思います。

 

それは・・・

 

 

 

タックス・スペアリング・クレジットの検討・適用漏れ

 

です。

 

はじめて耳にされた方もいらっしゃるかと思いますが、タックス・スペアリング・クレジットとはみなし外国税額控除とも呼ばれており、外国税額控除の一種です。

 

1.外国税額控除とは

外国税額控除とは、海外との取引において、海外の法人からサービス等に関する対価の支払いを受けた場合に、海外の現地法令で源泉税が課される場合があります。

海外で源泉税が課された後に、同じ取引において日本の法人が日本で法人税を課されると2重課税が発生するため、海外で支払った源泉税があるのであれば、日本の法人税の金額から一定金額を控除するというのが外国税額控除です。

 

2.タックス・スペアリング・クレジットとは?

タックス・スペアリング・クレジットとは何かというと、一定の国との取引において、現地国で源泉税が課される場合、租税条約の適用を受けるための手続きを行えば、外国源泉税の額の減額を受けることができます。

実際に支払った金額が外国税額控除の対象となるため、外国源泉税の額が減額されれば、外国税額控除の適用対象金額も減額されるのですが、タックス・スペアリング・クレジットの適用対象取引であれば、租税条約により外国源泉税額が減額されたとしても、減額された部分の外国源泉税を支払ったものとみなして、外国税額控除の計算が行えるという制度になっています。

 

例えば、中国の場合、一定の使用料については20%の源泉税が課されることになりますが、租税条約の届出書を一定期間内に提出することにより、源泉税率を10%に下げることができます。

この場合、本来であれば実際に支払った10%分の源泉税額が外国税額控除の対象となりますが、タックス・スペアリング・クレジットの対象取引であれば、減額されたことにより支払ったものとみなされる10%分も含めた、20%分の金額に対して外国税額控除が適用されることになります。

 

これはキャッシュアウトを伴わない源泉税額(免除された金額)分が日本の法人税額から控除されるため、適用できればとてもメリットのある制度になっています。実際に過去数年間にわたり数百万円単位で見逃していたクライアントも見たことがあります。

 

 

3.タックス・スペアリング・クレジットの適用対象国

タックス・スペアリング・クレジットはすべての国や取引で適用されるものかというと、そうではありません。2021年においてはタイ、中国、バングラディシュなどの6か国において適用されています。従って、実際に適用できるかどうかについては租税条約を確認する必要があります。

 

 

4.おわりに

税理士の先生に確定申告書の作成をお願いしていても、国際税務に精通していない先生だと、そもそもタックス・スペアリング・クレジットの制度自体を知らなかったり、知っていたとしても頻繁に出てくるような論点ではないため検討が漏れているケースが散見されます。

また、見逃すことによるリスクは大変大きなものになっていますので、国際税務に関するリスクを減らしたいという方は、ぜひ一度お問い合わせください。

 

お問い合わせはこちら

 

竹田

 

こちらのクリックもよろしくお願いします。↓

 にほんブログ村 士業ブログへ
にほんブログ村
                         

 

 

 

タイトルとURLをコピーしました