【外国法人・外資系企業は要注意】事業譲渡類似株式について

国際税務

こんにちは。税理士の竹田です。

今回は、あまり聞きなれないワードだと思いますが、事業譲渡類似株式についてご説明したいと思います。

これは外国法人にとっては落とし穴になっている場合がありますので、ぜひ読み進めていただければと思います。

 

1.事業譲渡類似株式とは?

事業譲渡類似株式とは、日本国内にある法人が発行する株式を海外の親法人若しくは非居住者がその会社の株式を50%超所有しているような場合、その株式を他の法人もしくは個人に譲渡した場合には、その譲渡益に対して日本で課税が行われるというものです。

 

例えば、海外に親会社があり、その親会社が日本の子会社株式を保有している場合、グローバルでの再編等に伴い、親会社が他の法人へ日本の子会社株式を譲渡すると、日本の法令上、海外の親会社で発生する株式の譲渡益に対して、日本で法人税の申告及び納付が必要となる可能性があるということです。

 

これは、国内の法人が海外の法人から支配を受けている場合、その国内の法人の株式を譲渡することが、実質的にその国内の法人の事業を譲渡しているものと同視できるために課税するというものです。

 

2.具体的な要件

具体的には、「特殊関係株主等」と呼ばれる、その内国法人の株主など一定の関係にある者で50%超の資本関係にある外国法人が、①その内国法人の株式を譲渡した事業年度以前3年内のいずれかの時において、その特殊関係株主等の発行済株式の総数又は総額の25%以上に相当する数または金額の株式を所有しており、かつ、②その譲渡をした事業年度において、内国法人の発行済株式の総数又は総額の5%以上に相当する数または金額の株式を譲渡した場合に適用されます(法人税法施行令第178条第6項)。

 

また、上記②の規定については、内国法人の会社分割により株式を譲渡した場合など、別途組織再編などが行われた際の規定も設けられているため留意が必要です(法人税法施行令第178条第7項)。

 

 

 

3.租税条約の適用について

租税条約については、それぞれ締結している国により、事業譲渡類似株式について日本での課税を認めるものや免除されるものなど、その要件や定め方が異なっているため、どの国の租税条約が適用されるのかということやその適用条件については詳細に確認する必要があります。

 

例えば、アメリカの場合、日米租税条約第13条に譲渡収益に関する規定が記載されていますが、株式の譲渡については、第13条3項に規定されている金融機関の株式を取得する以外では、譲渡者が居住者とされる締約国においてのみ租税を課すると第13条7項に規定されているため、原則として日本では課税されないこととなります。

なお、この場合、租税条約の適用を受けるためには、「租税条約に関する届出書」、「特典条項に関する付表」、「居住者証明書」の提出が必要となりますのでご留意ください(実施特例法第9条の2第9項)。

 

4.おわりに

冒頭でも申し上げた通り、外国法人や外資系の法人については申告漏れや届出書の提出漏れなどのリスクが考えられます。

弊社では事業譲渡類似株式に該当するかどうかや事業譲渡類似株式に該当する場合の申告書の作成若しくは租税条約に関する届出書の作成など、個別のご相談も賜っておりますので相談したいという方は、ぜひお問い合わせフォームからご連絡ください。

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竹田

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