こんにちは、税理士の竹田です。
今回は令和2年度税制改正で導入され、令和4年度においても改正が行われるいわゆるソフトバンク税制(子会社株式簿価減額特例)について制度概要をメインにご説明いたします。
ソフトバンク税制は大企業だけでなく、子会社を持つ中小企業においても影響があることが想定されます。特にファンドビジネスをされている法人については検討が必要なケースが多くなると見込まれるため、ぜひ最後までお読みいただければと思います。
Index
1.ソフトバンク税制(子会社株式簿価減額特例)とは
子会社株式簿価減額特例とは、親会社が子会社株式を取得した後に、その取得前に子会社が蓄積した留保利益を親会社が配当として受けると、配当についてはその全部若しくはほとんどについて税金がかからず、また、配当を行ったことにより子会社の純資産及び時価が下落した段階で子会社株式を譲渡すると、親会社では株式の譲渡損を損金として計上することができるため、これらの租税回避を防止するために設けられた規定です。
2.簿価引き下げ額の算定方法
内国法人が他の法人(通算法人を除く。)から配当等の額を受ける場合において、その受ける配当等の額及び同一事業年度内の配当等の額の合計額が当該対象配当等の額及び同一事業年度内配当等の額に係る各基準時の直前において当該内国法人が有する他の法人の株式等の帳簿価額のうち最も大きいものの10%を超えるときは、受取配当等の益金不算入、外国子会社配当等の益金不算入及び現物分配による資産の譲渡の規定により益金不算入相当額が株式等の帳簿価額から引き下げられます。
3.適用除外要件
子会社株式簿価減額特例については、次に掲げる要件に該当する場合については本特例の適用はないこととなっています(法人税法施行令第119条⑩)。
① 内国株式割合要件
他の内国法人の設立時から内国法人が当該他の法人との間に最後に特定支配関係を有することとなった日(特定支配日)までの期間を通じて、他の法人の発行済株式の総数等の90%以上を内国法人等が有する場合
② 特定支配日利益剰余金額要件
特定支配日がその対象配当等の額を受ける日の属する他の法人の事業年度開始の日前である場合において、(イ)―(ロ)≧(ハ)となる場合
(イ)当該他の法人の対象配当等の額に係る決議日等前に最後に終了した事業年度の貸借対照表に計上されている利益剰余金の額
(ロ)(イ)の事業年度終了の日の翌日から当該対象配当等の額を受ける時までの間に当該他の法人の株主等が受ける配当等の額の合計額
(ハ)当該他の法人の特定支配日前に最後に終了した事業年度の貸借対照表に計上されている利益剰余金の額に一定の調整を行った金額
③ 10年超支配要件
特定支配日から当該対象配当等の額を受けるまでの期間が10年超の場合
④ 金額要件
対象配当等の額及び同一事業年度内配当等の額の合計額が2,000万円以下の場合
4.令和4年度税制改正
令和4年度の税制改正では、上記3.適用除外要件について、いくつか改正が行われることになっていますが、これらについては別のブログで具体的にご紹介したいと思います。
5.終わりに
ソフトバンク税制については、適用除外要件の判断が難しいものや適用除外を受けるための書類保存要件や別表添付要件もあるため、留意が必要です。
また、令和4年度の税制改正においてさらに複雑になっていますので、適用がありそうな会社については専門家への確認が必要となります。
もしこれらに関するご相談等ございましたら下記お問い合わせフォームからご連絡ください。
竹田
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