インボイス制度~帳簿の保存のみで仕入税額控除がみとめられるもの~

消費税

こんにちは、税理士の竹田です。

これまでインボイス制度について、制度概要や適格請求書発行事業者になる場合の留意点、経過措置についてブログを記載してきました。

その中で、消費税法上、仕入税額控除の適用を受けるためには帳簿や請求書等の保存が要件とされている旨は記載しましたが、今回は帳簿への記載および保存のみで仕入税額控除が認められるものについてご紹介いたします。

 

1.帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるもの

上記にも記載した通り、原則としては、帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除を受けるための要件とされていますが、一定のものについては請求書等の発行が困難であるものもあるため、帳簿への記載および保存により仕入税額控除が認められることになっており、以下のものがこれらに該当します(適格請求書等保存方式に関するQ&A 問79)。

 

① 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送

② 適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引(①に該当するものを除きます。)

③ 古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物(古物営業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入

④ 質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物(質屋を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の取得

⑤ 宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物(宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入

⑥ 適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品(購入者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入

⑦ 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等

⑧ 適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)

⑨ 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)

 

上記の中でも特に頻繁に発生すると考えられる公共交通機関による旅客の運送及び従業員等に支給する出張旅費等について詳しくご説明いたします。

 

2.公共交通機関による旅客の運送について

上記①及び②に記載されている公共交通機関による旅客の運送とは、電車、バス、船舶などで切符の購入をしたり交通系ICカードにより運賃を支払ったりされているかと思いますが、これらについては上記①にある通り、3万円未満であれば一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。

 

また、3万円以上であればインボイスの保存も要件に入ってくるのですが、公共交通機関である鉄道事業者から適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)を記載した乗車券の交付を受け、その乗車券が回収される場合は、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(新消令49①一ロ)。

 

では、タクシーや航空機も概念としては公共交通機関に含められるかと思いますが、これらについても帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められるのでしょうか。

 

答えはNoです。新消費税法施行令第70条の9第2項一号に規定されている公共交通機関の料金等が帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められることとなるのですが、タクシーや航空機はこれらに含まれていないため、インボイスの保存も必要ということになります。

 

また、3万円未満であるかどうかの判定方法については1回の取引の税込価額が3万円未満であるかを判定するため、1回の取引で複数人分の乗車券を購入した場合には、その税込価額の合計額が3万円未満かどうかで判定することになります。

 

 

3.従業員等に支給する出張旅費等について

役員又は使用人が出張等により勤務場所を離れて業務を遂行するための旅費・宿泊費や転任に伴う転居のためにかかった旅費等のうち、その必要な支出に充てるために事業者が支給した金額で、通常必要であると認められる部分については帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められることとなっています(新消法30⑦、新消令49①一ニ、新消規15の4二)。

 

通常必要であると認められる金額とはどのように判断するかというと、所得税法基本通達9-3(非課税とされる旅費の範囲)に基づいて判定することとなっています。

この通達で規定されている旅費等については、業務上の必要に基づく支出の実費弁償であることから非課税とされているものであるため、業務に紐づかないものや金額が相当と認められないものについては、通常必要であると認められないことから、非課税とされる旅費の範囲に該当せず、帳簿の保存のみで仕入税額控除も認められないということになります。

 

<ご参考>

所得税基本通達9非課税とされる旅費の範囲

法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいうのであるが、当該範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。

(1) その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。

(2) その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

 

4.おわりに

今回は帳簿への記載および保存のみで仕入税額控除が認められるものについてご紹介しましたが、中には判断に迷うようなものもあるかと思います。

個別の相談についても承っておりますので、お気軽に下記お問い合わせフォームからご相談ください。

 

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過去のインボイス制度に関するブログは下記をご参照ください。

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竹田

 

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