債権・債務の相殺には要注意!?

国際税務

こんにちは、税理士の竹田です。

今回はグループ会社間の取引(特に海外進出している法人や外資系法人)においてよく見られる債権・債務の相殺取引の留意点について解説したいと思います。

 

1.債権債務の相殺の何が問題?

グループ会社間での取引というものは、どの法人であってもよく行われているかと思いますが、中にはグループ会社間で取引を行った際に、お互いに債権・債務が発生しているため、それらの債権・債務を相殺するという処理を行っている法人もあるかと思います。

 

例えば、日本の法人が海外のグループ会社に対して、製品の売上による売掛金と海外のグループ会社に支払うロイヤリティの未払金が残っていたとします。

 

仮に、日本の法人側でこの売掛金と未払金を相殺した時に、税務上どのような論点があるかというと、源泉所得税の支払い漏れに留意する必要があります。

 

 

2.源泉所得税の取り扱い

海外のグループ会社など非居住者に対して源泉所得税の対象となる一定の報酬を支払う者は、その支払いの際、所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付することになっています(所得税法第212条第1項)。

 

基本的な考え方としては、実際に支払いが発生するまで、源泉徴収の義務はないため、未払金として処理されている段階では、源泉徴収は不要となります。

 

しかし、債権と債務を相殺した場合には、支払が発生しないため、源泉徴収はしなくてよいのではないかとの疑問もあるかと思います。

 

ですが、そうではありません。所得税基本通達181~223共-1には次のように定められています。

 

(支払の意義)

「法第4編((源泉徴収))に規定する「支払の際」又は「支払をする際」の支払には、現実に金銭を交付する行為のほか、元本に繰り入れ又は預金口座に振り替えるなどその支払の債務が消滅する一切の行為が含まれることに留意する。」

 

つまり、債権・債務を相殺することにより債務が消滅することもこの条文では支払いに含まれると規定しているため、現金支出がなかったとしても源泉徴収及びその納付は必要となります。

 

 

3.おわりに

債権債務を相殺した場合は、グループ間であったとしても相殺したことがわかる書類(領収書等)を残しておく必要があります。

他にも債務免除を受けた場合などいくつか論点はあるのですが、本日はこのあたりまでとさせていただきます。

 

具体的なご質問などありましたらお気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。

 

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竹田

 

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