電気通信利用役務の提供とインボイス制度の関係について

電気通信利用役務の提供 国際税務

令和5年10月1日から開始されるインボイス制度について、対応中の事業者も多いかと思いますが、今回はその中でも電気通信利用役務の提供について、インボイス制度との関係がどのようになっているかについて解説したいと思います。

 

1.電気通信利用役務の提供

(1)電気通信利用役務の提供とは

電気通信利用役務の提供とは、電気通信回線(インターネット等)を介して行われる著作物の提供その他の電気通信を介して行われる役務の提供であって、他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供以外のものと定義されています。

 

具体的にはどういったものかというと、以下のようなものが挙げられます。

・インターネット等を通じて行われる電子書籍、音楽、映像、ゲーム等の配信

・クラウド上のソフトウェアやデータベースを利用させるサービス

・インターネット上の広告配信

・インターネット上のショッピングサイト等を利用させるサービス

・インターネットを介して行う英会話教室

など

 

日本の法人が国内において上記に掲げるようなサービス提供を国内向けに行った場合には、消費税の課税対象となるため問題にはなりませんが、国外の事業者が国内の法人や個人向けに上記サービスの提供を行った場合には、消費税の課税対象とならないという問題があったため、国外の事業者が行う電気通信利用役務の提供については、「事業者向け電気通信利用役務の提供」とそれ以外の電気通信利用役務の提供(以下、「消費者向け電気通信利用役務の提供」といいます。)に分類され、申告方法も異なっています。

 

(2)事業者向け電気通信利用役務の提供

事業者向け電気通信利用役務の提供では、国外の事業者が行う電気通信利用役務の提供について、その役務の提供を受けた国内の事業者にそのサービスに係る消費税の申告・納付を課す制度となっています。

この役務の提供を受けた事業者が申告・納付する方法をリバースチャージ方式といいます。

 

リバースチャージ方式には経過措置が設けられており、原則課税で申告を行う場合については、その課税期間における課税売上割合が95%以上である事業者及び簡易課税で申告を行う事業者については、事業者向け電気通信利用役務の提供の対象となる取引が発生した場合においても、その申告に含める必要はないことになっています。

 

(3)消費者向け電気通信利用役務の提供

消費者向け電気通信利用役務の提供では、国外の事業者が行う電気通信利用役務の提供について、サービス提供を行った国外事業者がそのサービスに係る消費税の申告・納付を行う制度となっています。

 

ただし、消費者向け電気通信利用役務の提供を受けた者は注意が必要になります。国内の事業者から受けた役務提供の場合、支払った消費税は消費税の申告上控除(これを仕入税額控除といいます。)することが可能ですが、消費者向け電気通信利用役務の提供の場合、その役務の提供を行った事業者が登録国外事業者でなければ消費税の申告上控除できないことになっています。

 

(4)登録国外事業者について

消費者向け電気通信利用役務の提供を行い又は行おうとする国外事業者は下記に定めるような要件を満たしている場合には、国税庁長官に申請することにより登録国外事業者として登録を受けることができます。

ただし、登録国外事業者として登録された場合には、登録を受けている課税期間については事業者免税点の制度は受けられないこととなります。

 

(登録国外事業者になるための要件)

① 国内に電気通信利用役務の提供に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものが国内にあること又は消費税に関する税務代理の権限を有する税務代理人がいること

② 国外事業者が納税管理人を定めていること

③ 国税の滞納がないこと

④ その国外事業者が登録を取り消された場合、その取り消しから1年以上経過していること

 

2.インボイス制度導入後における電気通信利用役務の提供への影響

令和5年10月1日からインボイス制度が導入されますが、インボイス制度導入後においても、事業者向け電気通信利用役務の提供に関する取引については、これまでと同様に役務提供を受けた者において申告・納付が必要となるリバースチャージ方式が採用されることになります。

 

一方で、消費者向け電気通信利用役務の提供については、登録国外事業者という制度が廃止され、インボイス制度の登録を受けた事業者が発行する適格請求書のみが仕入税額控除の対象となります。

 

これまで登録国外事業者の承認を受けていた事業者やこれから承認手続きを受ける事業者で令和5年9月1日時点において登録国外事業者の承認を受けている事業者は、令和5年10月1日において適格請求書発行事業者の登録を受けたものとみなされます(消費税法改正附則〔平成27年3月31日法律第9号抄〕第45条)。

従って、新たにインボイス制度の登録申請を行う事業者についてはこれから申請書の提出が必要になりますが、すでに登録国外事業者の承認を受けている事業者については、インボイス制度に関する登録申請は不要となります。

 

3.おわりに

そもそも電気通信利用役務の提供に関する取扱いが複雑にもかかわらず、インボイス制度が関係してくるとより複雑性が増してくるかと思います。

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