こんにちは、税理士の竹田です。
外資系企業では役員が海外の関連会社から日本の法人に赴任した場合、その役員に対し社宅を用意し、貸与しているケースがよく見られます。また、日本の中小企業等においても役員社宅を利用しているケースも多く見られます。
その場合、一定の賃料を法人側で受領しなければ、役員に対する給与として源泉所得税の対象となるのですが、今回は、ケースごとにどのように取り扱うのかについて解説いたします。
Index
1.給与として課税されるケース
所得税法上、法人の事業の用に供する資産を専属的に利用することにより役員等が受ける経済的利益に対しては、所得税が課せられることになります。
経済的利益とは、物品その他の資産を無償又は低い対価で受けた場合や土地・家屋等の貸与を無償又は低い対価で受けた場合などに、通常支払うべき対価の額と実際支払う対価の額との差額が経済的利益として取り扱われます(所得税基本通達36-15)。
従って、法人の役員等が社宅を無償又は低い対価で貸与されている場合に、通常支払うべき毎月の賃料の額と実際支払う賃料の額との差額が経済的利益として取り扱われ、給与として課税されることとなります。
2.賃料相当額の計算
通常支払うべき賃料は下記の区分に応じて計算されることとなっており、役員がそれぞれの算式に基づいて計算した金額以下の金額の賃料しか支払っていない場合には、経済的利益が発生し、その金額について給与課税されることとなります。
(1)通常社宅等の場合
下記(2)、(3)以外に該当する場合には、所得税基本通達36-40に規定されている算式において計算することとなります。
① 法人が所有する住宅等の場合
{その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×12%(木造家屋以外の家屋については10%)+その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%}×1/12
② 法人が借り受けて貸与した住宅等の場合
法人が支払う賃料の50%相当額と①の算式により計算される通常の賃料相当額のいずれか多い金額
(2)小規模住宅等の場合
貸与した家屋の床面積が132㎡(木造家屋以外の家屋については99㎡)以下である場合には、上記(1)によらず、次の算式にて計算することとなっています(敷地だけを貸与している場合にはこの取り扱いは適用されません。)。
その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×0.2%+12円×(当該家屋の総床面積(㎡)÷3.3(㎡))+その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%
(3)豪華社宅の場合
豪華社宅とは、役員に貸与した住宅等が社会通念上一般に貸与されている住宅等と認められないものであり、家屋の床面積が240㎡を超えるものやプール付きの住宅、豪華な内外装をもつ住宅など総合的に勘案して判断されます。
豪華社宅に該当する場合には、上記(1)及び(2)の計算は適用されず、第3者がその住宅等の利用について支払うべき使用料が通常支払うべき賃料となります。
3.その他特例
上記2(1)により通常の賃貸料の額を計算する場合において、次に掲げるような場合に該当する場合、それぞれに掲げる金額を通常支払うべき賃料として取り扱うことができます。
(1)公的使用に充てられる部分がある場合
役員に貸与した社宅が個人的な使用のみならず、法人のための打ち合わせで使用されたり、得意先を招待することを兼ねている場合は、
上記2(1)、(2)でそれぞれ計算された通常の賃貸料×70%
が通常の賃料相当額とされます。
(2)単身赴任者のような者が一部を使用しているにすぎない場合
単身赴任者が広い社宅の貸与を受けていたとしても、実際に社宅として使用しているのはその一部に過ぎない場合は、
上記(1)、(2)でそれぞれ計算された通常の賃貸料×50㎡/当該家屋の床面積(㎡)
が通常の賃料相当額とされます。
4.おわりに
社宅家賃の取り扱いについては、実態判断も含まれてくるため判断が難しい場合があります。
また、上記の通り、場合分けによりどの計算式を使用するのが適切かということについても難しい場合があります。
これらに関するご相談も受け付けておりますので、ご依頼のある方は下記お問い合わせフォームからご連絡ください。
竹田
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