「PEなければ課税なし」という言葉を耳にされたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、この言葉に引きずられてPEがなければ消費税の納税義務もないのではないかと誤解されていることがあります。
PEなければ課税なしという言葉は正確に言うと、PEがなければ事業所得に関する課税が行われないという意味であり、取引に応じて源泉所得税や消費税などはPEがなくても課税されるケースがあります。
そこで今回は、外国法人における消費税の納税義務についてご紹介したいと思います。
Index
1.消費税の課税対象取引について
消費税の課税の対象となるかどうかについては、消費税法第4条第1項において、
国内において事業者が行った資産の譲渡等及び特定仕入には、この法律により、消費税を課する。
と規定されています。
事業者とは、個人事業者及び法人をいいます(消法2①四)が、ここで規定されている法人は、内国法人に限定されているわけではありませんので、外国法人も含まれています。
2.消費税の納税義務について
上記1.に記載されている国内において事業者が行った課税資産の譲渡等や特定課税仕入については消費税を納める義務があります。
これは、その外国法人が日本国内に支店などのPEがあるかどうかにかかわらず、これらの取引がある場合には、日本において消費税を納める義務があるということを意味しています。
また、内国法人と同様に、その外国法人の基準期間(その事業年度の前々事業年度)における課税売上高が1,000万円以下の場合には、消費税の納税義務は免除されています(消法9)。
ただし、次に掲げる要件に該当する場合には、基準期間における課税売上高が1,000万円以下であったとしても消費税の納税義務は免除されません。
(1) 課税事業者選択届出書を提出している場合(消法9④)
(2) 特定期間における課税売上高及び支払った給与等の金額が1,000万円を超える場合(消法9の2、消基通1-5-23)
(3) 合併、分割があった場合の納税義務の免除の特例計算により、基準期間における課税売上高が1,000万円を超える場合(消法11、12)
(4) 新規に設立された基準期間がない外国法人で、期首時点における資本金の額が1,000万円以上の場合(消法12の2)
(5) その事業年度の基準期間がない外国法人が特定新規設立法人に該当する場合(消法12の3)
なお、(4)における、外国法人の資本金の額の換算方法については、法人税法基本通達20-5-36(資本金の額等の円換算)を準用し、当該事業年度開始の日における電信売買相場の仲値により換算した円換算額によることとされています。
3.外国法人の申告について
上記2.において外国法人が納税義務者となる場合には、日本において消費税の申告・納付が必要となるのですが、日本にPEがない外国法人の場合、どこに申告書を提出すればよいのかわからないという方もいらっしゃるかと思います。
その場合、国内に住所又は居所を有する者を納税管理人として定めたうえで、消費税納税管理人届出書を納税地の所轄税務署に消費税の申告書を合わせて提出します。
ちなみに消費税法における法人の納税地は消費税法第22条及び法人税法施行令第43条に規定されています。
4.おわりに
外国法人における消費税の納税義務判定については、日本国内にPEがあるかどうかによって大きく変わるものではありませんが、納税管理人の指定など通常あまり行うことがない手続きが必要な場合がありますのでご留意ください。
竹田
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