任意組合と匿名組合の違い及び税務上の取り扱いについて、2回にわたってご紹介しましたが、今回は関連する項目として、任意組合におけるインボイス制度の取り扱いについてご紹介いたします。
任意組合と匿名組合の違いについてはこちら↓
Index
1.任意組合のおさらい
任意組合とは、任意組合の組合員が任意組合契約に基づいて出資を行い、共同で事業を営むことを約するものです。
任意組合には法人格はなく、税法上も任意組合自体には法人税や所得税は課せられないため、任意組合の構成員において課税されることになります。
また、任意組合において事業を営むために必要となる資産や事業によって生じた債務、事業によって発生した利益又は損失はすべて各組合員に帰属することになります。
2.任意組合におけるインボイス制度の取り扱い
任意組合においては、各組合員が業務執行権を有しているため、各組合員が適格請求書発行事業者として適格請求書等を発行することができるのでしょうか。
答えは、原則として適格請求書等を発行してはならないと規定されています。
新たに設けられる消費税法57条の6において、任意組合、投資事業有限責任組合、有限責任事業組合又は外国の法令に基づいて設立された団体であってこれらの組合に類似するものの組合員である適格請求書発行事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等につき適格請求書若しくは適格簡易請求書を交付し、又はこれらの書類に記載すべき事項に係る電磁的記録を提供してはならないと規定されています。
しかし、この条文には続きがあります。
先ほど原則としてと記載したのは、例外があるためですが、その例外とは、任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である場合において、「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」を提出した場合には、その提出があった日以後の課税資産譲渡等については、適格請求書等を発行することができます。
3.任意組合が交付する適格請求書の記載事項
適格請求書には記載事項が定められていますが、任意組合の場合、組合員が複数いるため、「氏名又は名称及び登録番号」をどのように記載するのかという問題がありますが、原則としては、すべての組合員の「氏名又は名称及び登録番号」を記載することになります。
しかし、任意組合等のいずれかの組合員(又は複数の組合員)の「氏名又は名称及び登録番号」及び任意組合等の名称を記載することも認められています。
4.その他留意点
上記でご説明した、「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」については、当該組合の組合員のうち、業務執行者(業務執行者が複数あるときは、そのうち一の業務執行者とし、業務執行者が存在しない場合には、一の組合員)が、当該業務執行者の納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
また、「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」を提出した後、新たに組合員として加入した者が適格請求書発行事業者以外の場合や任意組合等の組合員のいずれかが適格請求書発行事業者でなくなった場合には、上記2の例外規定は適用できなくなります。
その場合、速やかに、「任意組合等の組合員が適格請求書発行事業者でなくなった旨等の届出書」を提出する必要があります。
5.おわりに
特殊な論点ですので、気づかずにインボイス制度が始まってしまったということにならないよう、事前の準備が必要ですので、お困りの際はぜひお気軽にお問い合わせください。
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