みなし配当の計算方法~令和3年度の最高裁判例及び令和4年度の税制改正~

国際税務

こんにちは、税理士の竹田です。

今回は昨年の最高裁判例を受けて改正されることになる、みなし配当について解説したいと思います。

私が過去に担当させていただいたクライアントにおいても、計算数値をレビューさせていただいたときに誤りが散見された項目でもあるため、こちらの記事が参考になれば幸いです。

 

1.みなし配当とは

みなし配当とは、会計上は剰余金の配当とされないものであったとしても、実質が剰余金の配当と変わらないものについては、法人税法上、配当とみなして受取配当等の益金不算入等の規定が適用されることになります。

このみなし配当の発生事由としては以下のものが挙げられます。

① 合併(適格合併を除く。)

② 分割型分割(適格分割型分割を除く。)

③ 株式分配(適格株式分配を除く。)

④ 資本の払い戻し(剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)のうち分割型分割によるもの及び株式分配以外のもの並びに出資等減少分配をいう。)又は解散による残余財産の分配

④ 自己株式又は出資の取得(市場購入によるもの等を除く。)

⑤ 出資の償却、出資の払戻し、社員その他法人の出資者の退社又は脱退による持ち分の払い戻し等

⑥ 組織変更

 

今回はこの中で④の資本の払い戻しについてみていきたいと思います。

 

2.現行制度におけるみなし配当の計算式

現行制度における、資本の払い戻しに関するみなし配当の計算式は以下の通りとなっています。

 

みなし配当の金額=交付を受けた金銭等の額-払戻等対応資本金額等*×株式保有割合

 

* 払戻等対応資本金額等

$$払戻等直前の資本金額等\times\left(\frac{払い戻しにより減少した資本剰余金の額}{税務簿価純資産価額}\right)$$

分数の割合の計算には次の決まりがあります。

① 直前資本金額等の額が0以下の場合には0

② 直前資本金額等が0を超え、かつ、分母の金額が0以下である場合には1

③ 分数の割合に小数点以下3位未満の端数があるときはこれを切り上げます。

 

3.令和3年3月11日の最高裁判所判例について

令和3年3月11日に判決が言い渡されたみなし配当に関する裁判では、資本剰余金のみを原資とした払戻ではなく、利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として行われた剰余金の配当(いわゆる混合配当)の取り扱いについて争われました。

具体的な争点は以下の2点です。

① 利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として行われた剰余金の配当(混合配当)はその全体が資本の払戻しに該当するか

② 法人税法施行令(平成27年政令第142号による改正前のもの)23条1項3号の規定のうち資本の払戻しがされた場合の当該払戻し直前の払戻等対応資本金額等の計算方法を定める部分の法適法性

 

上記①に関しては、混合配当の場合、その全体が資本の払い戻しに該当する旨が明らかにされました。

また、上記②に関して、本件事案ではみなし配当計算時点における税務上の利益積立金額がマイナスになっており、改正前の法人税法施行令に基づく計算方法では、直前の払戻等対応資本金額等の金額が減少する資本剰余金の額を超え、利益剰余金を原資とする部分が資本の払い戻しとして取り扱われることとなっていました。これに関しては裁判所側が違法であると判断しています。

 

4.令和4年度税制改正

上記の最高裁判例がきっかけとなり、令和4年度税制改正でみなし配当の計算方法が見直されました。

内容としましては、上記3.②で違法であると判断された部分に関し制限を設けた形となっております。

具体的には、払戻等対応資本金額等及び減少する資本剰余金の額は、払い戻しにより減少した資本剰余金の額の金額が限度とされます。

最高裁判例に基づいてみなし配当の計算が見直されることになりましたが、見直し後の計算方法は過去に遡って適用されることになっています。従って、過去5年間において、みなし配当が生じている法人のうち、税金を納めすぎている法人については更正の請求を行い、払いすぎた税金について還付を受けることが可能です。

 

5.おわりに

みなし配当の計算や計算式のレビューなど部分的なご依頼についても随時承っております。また、みなし配当計算の見直しや更正の請求に関する申告書作成についてご依頼がございましたら、下記お問い合わせフォームからご連絡ください。

 

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竹田

 

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