こんにちは、税理士の竹田です。
昨今、電子帳簿保存法に関する情報がCMやインターネット等で取り上げられ、何をどう対応すればよいのかわからないという方も多くいらっしゃるのではないかと思いますが、今回は、電子帳簿保存法によってどのような対応をすべきかということは置いておいて、そもそも青色申告法人はどのように帳簿を記載し、どのような書類の保存が必要なのかということについて解説したいと思います。
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1.法人税法における青色申告とは
青色申告とは、法人税における申告方法の1つであり、青色申告の承認申請書を一定期間内に提出し、納税地の所轄税務署長から承認を受けた場合に提出することができる申告書です。
青色申告の承認を受けた場合には、欠損金の繰越控除や特別償却の適用など様々な特典が設けられております。
2.青色申告による帳簿の備え付け
青色申告により申告書を提出する場合には、上記1.のようなメリットがある一方で、一定の帳簿書類の備え付け、記録及び保存が義務付けられています(法人税法第126条)。
仮に、法人税法に定める帳簿書類の備え付け、記録及び保存等が適切になされていないと判断された場合には、所轄税務署長は青色申告の承認を取り消すことができますのでご留意ください。
3.青色申告法人の帳簿の記載事項
それでは実際にどのような事項を記載すればよいのかということですが、法人税法施行規則54条において、「青色申告法人は、全ての取引を借方及び貸方に仕訳する帳簿(次条において「仕訳帳」という。)、全ての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿(次条において「総勘定元帳」という。)その他必要な帳簿を備え、別表二十一に定めるところにより、取引に関する事項を記載しなければならない。」と規定されています。
別表21に規定されている記載事項については以下の通りですが、その業種や業態及び規模等により税務署長の承認を受けた場合には、一部を省略又は変更することも可能です。
区分 | 記載事項 |
(一) 現金の出納に関する事項 | 取引の年月日、事由、出納先及び金額並びに日々の残高 |
(二) 当座預金の預入れ及び引出しに関する事項 | 預金の口座別に、取引の年月日、事由、支払先及び金額 |
(三) 手形(融通手形を除く。)上の債権債務に関する事項 | 受取手形、支払手形別に、取引の年月日、事由、相手方及び金額 |
(四) 売掛金(未収加工料その他売掛金と同様の性質を有するものを含む。)に関する事項 | 売上先その他取引の相手方別に、取引の年月日、品名その他給付の内容、数量、単価及び金額 |
(五) 買掛金(未払加工料その他買掛金と同様の性質を有するものを含む。)に関する事項 | 仕入先その他取引の相手方別に、取引の年月日、品名その他受けた給付の内容、数量、単価及び金額 |
(六) (二)から(五)までに掲げるもの以外の債権債務に関する事項 | 貸付金、借入金、預け金、預り金、仮払金、仮受金、未収入金、未払金等に、それぞれ適当な名称を付して区分し、それぞれ、その取引の年月日、事由、相手方及び金額 |
(七) 有価証券(商品であるものを除く。)に関する事項 | 取引の年月日、事由、相手方、銘柄、数量、単価及び金額 |
(八) 減価償却資産に関する事項 | 減価償却資産については、第十四条各号(償却の方法の選定の単位)に掲げる減価償却資産の区分に応じ当該各号に掲げる種類の区分(その種類につき耐用年数省令別表(第十九条第二項(種類等を同じくする減価償却資産の償却限度額)の規定の適用を受ける場合には、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の一部を改正する省令(平成二十年財務省令第三十二号)による改正前の耐用年数省令別表)において構造若しくは用途又は細目が定められているものについては、その構造若しくは用途又は細目の区分とし、二以上の事業所又は船舶を有する法人で事業所又は船舶ごとに償却の方法を選定している場合にあつては、事業所又は船舶ごとのこれらの区分とする。)ごとに、かつ、耐用年数省令に定める耐用年数の異なるものについてはその異なるごとに区分し、それぞれ、その取引の年月日、事由、相手方、数量及び金額 |
(九) 繰延資産に関する事項 | その種類ごとに区分し、それぞれ、その取引の年月日、事由及び金額 |
(十) (一)から(四)まで及び(六)から(九)までに掲げるもの以外の資産(商品、製品、消耗品、その他棚卸しにより整理するものを除く。)に関する事項 | 取引の年月日、事由、相手方、数量及び金額 |
(十一) 売上げ(加工その他の役務の給付等売上げと同様の性質を有するものを含む。)に関する事項 | 取引の年月日、売上先、品名その他給付の内容、数量、単価及び金額並びに日々の売上総額。ただし、小売その他これに類するものを行う法人の現金売上げで本文の規定により難いものについては、日々の現金売上げの総額並びに売上先又は売上先を記載し難いものについてはこれに代えて取引回数を記載し、品名その他給付の内容、数量、単価又は金額のうち、その記載し難いものを省略することができる。 |
(十二) (十一)に掲げるもの以外の収入に関する事項 | 受取利息、雑収入等に、それぞれ適当な名称を付して区分し、それぞれ、その取引の年月日、事由、相手方及び金額 |
(十三) 仕入れに関する事項 | 取引の年月日、仕入先その他の相手方、品名その他給付の内容、数量、単価及び金額並びに日々の仕入総額 |
(十四) (十三)に掲げるもの以外の経費に関する事項 | 賃金、給料手当、法定福利費、厚生費、外注工賃、動力費、消耗品費、修繕費、減価償却費、繰延資産の償却費、地代家賃、保険料、旅費交通費、通信費、水道光熱費、手数料、倉敷料、荷造包装費、運搬費、広告宣伝費、公租公課、機密費、接待交際費、寄附金、利子割引料、雑費等に、それぞれ適当な名称を付して区分し、それぞれ、その取引の年月日、支払先、事由及び金額。ただし、少額の経費で本文の規定により難いものについては、それぞれその日々の合計金額のみを記載することができる。 |
4.書類の保存期間
法人税法施行規則第59条において、次に掲げる帳簿書類を、起算日から7年間納税地に保存しなければならないと記載されています。
(1)上記に記載した帳簿及び資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引に関して作成されたその他の帳簿
(2)棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに決算に関して作成されたその他の書類
(3)取引に関して、相手方から受け取った注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し
5.おわりに
今回は帳簿等を電子化する前に、青色申告法人はどのような帳簿の作成が必要かということやどのような書類をいつまで保存する必要があるのかについて記載しました。
今後、電子帳簿保存法に関するブログも更新する予定ですので、ぜひお見逃しなく。
竹田
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